うつ病に対しては、これまでは怠け病とか、気持ちが弱い人がなる病気であるといった偏見がありました。このため、発症してしまった人は、なかなか自分がうつ病にかかっていることを認めたがらず、また専門医の診療を受けることに抵抗感を持っていました。しかし、長時間労働とそれに伴いうつ病を発症するなど、メンタルヘルスに問題を抱える人が増加したことにより、正しい知識が普及しつつあります。このため、万一、自分がメンタルヘルスに問題を抱えていると感じた場合、あるいは周囲の人から指摘を受けた場合は、専門医の診察を受け、治療を受ける人が増えています。他の病気と同じように、早期発見、早期治療が一番いいのですが、早期発見が難しい面があります。特徴的な症状である抑うつ気分や睡眠障害などの体調不良は、誰にでも起こり得ることであるからです。労働安全衛生法の改正によるストレスチェック制度も始まっていますので、病気にかかっていることへの気づきを促す機会も増えています。少しでも異常を感じたら、専門医を受診することが必要です。うつ病の治療に一番必要なのは休息です。しかし、休息を取っているだけでは回復しない場合も多いので、一般的に抗うつ薬が用いられます。最近は新薬がどんどん開発されていますので、以前は発生した副作用も見られなくなっています。習慣化する性質の薬ではありませんので、主治医の服薬指導に従って、きちんと薬を飲み続けることが大切です。治療には、長い期間を要することが一般的です。通院も長期間にわたりますので、通勤途中にあるなど、通いやすい場所にある病院を選ぶことも大切です。また、うつ病は、検査などにより数値で見える化できる病気ではありません。患者の様子などを見て専門医が診断します。このため、話をよく聴いてくれるなど、相性が第一です。他の病気も主治医との信頼関係が不可欠ですが、うつ病の治療にはもっとも大切な要素です。従って、自分に合わないと感じたら、病院を変えてみることも一つの方法です。長期にわたる治療になるため、費用もかかります。新薬は薬効が高く、副作用も少ないですが、その分費用が高い場合もあります。その場合は、自立支援医療制度を利用するなどにより、負担を軽減することも可能です。