うつ病には従来型の定型と、新型の非定型とがあります。どちらもうつ病という名でありながら、その症状には明確な違いが現れます。そのため、治療もそれぞれに適したものを採用することになります。たとえば、定型うつ病の代表的な症状といえば何事にも気力が起きなくなったり自分を心身ともに傷つけたりするような言動が見られます。他にも食欲不振、味覚の喪失などが症状として現れます。また、併発しやすい病気として不眠症が挙げられます。一方非定型うつ病の場合には、気力がなくなる抑うつの症状が現れることは共通していますが、それは仕事や学校など、あまり好きではない事柄に意識が向いたときに現れます。平日は体がだるく、体調の悪さを感じます。しかし、休日になると元気になり、平日の体調不良が嘘のように明るく前向きに行動することができるようになります。食欲増進による急激な体重の変動、他人を傷つけるような言動をとるなど攻撃的になることもあります。睡眠障害が併発することもありますが、こちらの場合ですと不眠よりも過眠の方が多くみられます。これらの症状が全く異なる病気については、治療法もまた異なります。定型うつ病の治療には、主に薬物治療が採用されます。さらにその効果をより高めるために心身を休めることを推奨されます。多くの場合は休職を勧められますが、入院を勧められるケースもあります。日常から離れることで心と体に休養を取らせることで抗うつ剤の効果をより高めることができると考えられています。定型うつ病の場合、この薬物療法で多くの患者が快方に向かいます。非定型うつ病の場合には、精神療法を中心とした治療になります。投薬も行われますが、これはあくまでも補助的な役割であり、重要なのは患者本人の意思であると考えられています。体調と相談の上できる限り仕事を続けることを推奨されます。これが難しい場合には、スケジュールを組ませ、その通りに家事などをすることを勧められます。規則正しい生活を送ることで徐々に前向きな気持ちを持つことができるようになり、過眠や過食などの症状も収まってきます。また、日々の行動を記録することもまた重要です。自分の行動を冷静に確認することができるようになります。これもまた治療の一環です。